バスタ・ライムスの新盤ニューアルバム『Extinction Level Event 2: The Wrath of God』の破壊力について。

破壊力を影響力と同等の意味と捉えると,バスタ・ライムス(Busta Rhymes)が2020年10月30日(ハロウィーンの前夜)にリリースしたニューアルバム『E.L.E.2 (Extinction Level Event 2: The Wrath of God』は,現時点では計り知れない破壊力を持つアルバムであることはマチガイ無いです。

T.I.がバスタ・ライムスからの決戦を断ったワケには,本アルバムを聴いていただくとお分かりいただけるかもしれないですが,恐れもあったのではなかろうか,とも思えてきます。その恐れというのは,T.I.側がバスタに対して抱いている恐れです。

もともとT.I.はバスタのことを「世代が違いすぎる」といって断りました。つまり自分(T.I.)はバスタのHip-Hopを聴く世代よりも,若い世代を相手にする音楽を作っている,ということを言っているのでしょう。だから,ヴァーサス(Verzuz)バトルで決戦をするのは相応しく無い,と。

結局T.I.は同時代に出てきたサウスのとんでもなくビッグなハスラー=ジージー(Jeezy)とやることになったのですが(見てみたい!),それはそれで楽しみとして置いておいて,しかし,ですよ,しかし,今回のバスタ・ライムスのニューアルバムをお聴きになると,T.I.が恐れていたまさにバスタの「破壊力(destructive force)」が余すところなく良い塩梅に表現されています。まー,いっぺん,聴いてみとくんなせー。

たとえば楽曲5の「Outta My Mind」をどうぞ。脳みそぶっ飛びますので,ご注意を。これは1989年にR&B界に彗星の如く現れたR&Bトリオ=Bell Biv Devoe(ベル・ビヴ・デヴォー)のかの有名な「ポイズン(Poison)」のビートを下敷きにしてネタ回しをしている楽曲です。

Busta Rhymes feat. Bell Biv Devoe – “Outta My Mind”

このビートの大元となった楽曲は以下のとおりです。80年代から90年代に流行ったBell Biv Devoeの「Poison」です。

もういっきょく,いっときまひょか。

同アルバムから楽曲20,Busta Rhymes feat. Mary J. Bligeの「You Will Never Find Another Me」です。ソー・ソウルフル!

(キュレーティング:Jun Nishihara)

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